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胆石・胆嚢ポリープ

胆嚢について

体内で最大の臓器である肝臓では1日に500800ml程度の胆汁が産生され、胆管という管を通過して膵臓の出口で膵管と合わさり、膵液と一緒に十二指腸へと流れ出て炭水化物や脂肪の消化をサポートします。胆嚢は胆汁を濃縮するとともに一時的に蓄積する役割があります。

胆石症とは

胆管や胆嚢に胆石という石ができる状態が胆石症です。時々黄疸やお腹の痛みなど多様な症状が現れます。胆石は黒色石、ビリルビン結石、コレステロール結石の3つに分類され、最も多いタイプであるコレステロール結石は、食生活の欧米化が誘因であり、日本でも増えてきています。

胆石症の原因

肝臓で産生される胆汁は、リン脂質であるレシチン、胆汁酸、コレステロール、ビリルビンで構成されています。胆汁が濃くなる段階で細菌感染によって成分が分解される、胆汁成分の一部が多くなることなどがあれば結晶化して石ができます。結石が産生される段階によって色素結石やコレステロール結石など様々な性状の結石が作られます。これには食生活や体質など色々な要因が関係しています。

胆石症の症状

胆石が体内にあっても症状が出ることは稀であり、サイレントストーンと言われます。この状態で3350%程度の方に右背部鈍痛や上腹部不快感など何かしらの症状が認められるようになります。その一方で、胆石が胆嚢管と呼ばれる細い管を塞ぎ、急性胆嚢炎を発症して激しい痛みが出現する場合も稀にあります。多量のコレステロールを摂取した後、上腹部不快感が右背部や右肩に拡散するつらい痛みに変化し、発熱や震え、嘔吐などが出現することもあります。また、胆石が総胆管を塞いで皮膚が黄色く見える黄疸が出現する場合もあります。

胆石症の合併疾患

胆石症の合併疾患には膵炎が挙げられます。慢性膵炎の20%程度、急性膵炎の半数程度の原因は胆石症だと考えられています。慢性膵炎は胆石症の手術を行えば症状が軽快することが多いです。稀に数%程度ですが、胆石症が原因で胆嚢がんも認められることがあり、年をとるほどその可能性が高まります。

何らかの症状を認める胆石症がある高齢の方は、約1割の確率で胆嚢がんが発症していると考えられています。なお、胆嚢がんで胆石症も伴っている確率は8割程度にも上ります。

 

手術のタイミング・必要性

症状がない胆石症の場合は定期的に検査を行うことが重要ですが、すぐに手術治療を受けなければならないということはありません。ただし、次に当てはまる方は手術を考慮しましょう。

  • 胆嚢がんの可能性がある方
  • 中等度以上の急性胆嚢炎を何度も発症する方
  • 脂肪分の多い食事後に右肺部痛や上腹部痛などの症状が現れる方

上記の場合は速やかに手術を受ける必要があります。治療せずにいると重篤な状態になり、腹膜炎などを発症してより大きな手術を行わなければいけません。手術が必要な方は、連携医療機関をご紹介いたします。

胆嚢ポリープとは?

胆嚢に作られた盛り上がった病変を胆嚢ポリープと呼びます。大半の胆嚢ポリープは良性であり、長い目で見ても問題が起きないことが多いです。ただし一部のものは悪性となり、胆嚢がんを発症するため、胆嚢ポリープを指摘された方は専門医による精密検査を受けましょう。

胆嚢ポリープの種類

コレステロールポリープ

9割程度の胆嚢ポリープはコレステロールポリープです。良性であり、10mm以上のものはほとんどなく、数mm以内の大きさで胆嚢内に数多くできます。

腺腫性ポリープ

大半のものが良性ですが、中には胆嚢がんを発症することがあるため慎重に経過を見ましょう。

過形成ポリープ

胆嚢の上皮があまりに多く増えた状態です。

炎症性ポリープ

良性であり、粘膜細胞が増えてできるポリープで、慢性胆嚢炎の方に見られます。

胆嚢がん

悪性腫瘍で、胆嚢の粘膜に発生します。胆嚢がんがポリープの状態で発見されればまだ早い段階であることが多く、しかるべき治療を行えば完治できますが、進行してしまうと完治しにくいのが実情です。ですので、早いうちに見つけて治療することが重要です。

胆嚢ポリープの症状 -どうやって見つかるか?-

胆嚢ポリープができても目立った症状は現れません。大半の場合、健診の超音波検査でたまたま見つかるか、胆嚢炎や胆石を発症した時に画像検査で一緒に見つかります。

胆嚢ポリープの検査

血液検査

腫瘍マーカー、胆道系酵素、肝機能などをチェックしますが、確定診断はできないため補助的な検査になります。

腹部超音波検査

体の外から超音波を出す器械を用いて胆嚢の病変を観察します。胆嚢ポリープを検査する際に一番多く実施される検査であり、患者様の体への負荷もわずかです。

超音波内視鏡検査

胃カメラの一番先に特別な超音波検査機器が繋がっており、体外からと比べて胆嚢に近い部位から観察するため詳しく検査できます。

造影CT検査

造影CT検査は、造影剤注射を用いて腹部CT検査を実施します。胆嚢ポリープのサイズや形状を適切にチェックするとともに、胆嚢がんの手術を行う際に付近の血管などの構造やリンパ節への転移の有無を確かめられます。

胆嚢ポリープの治療

胆嚢自体を摘出するのが胆嚢ポリープの治療です。大腸や胃のポリープとは違って、ポリープのみを切除することはできないため胆嚢摘出術が必要となります。ただし、胆嚢ポリープが指摘されて必ずしも手術(治療)が必要なわけではなく、次のように胆嚢がんを強く疑う場合に行います。

 

胆嚢ポリープの治療が必要な方

  • 超音波検査でがんの可能性が高い(充実性低エコー所見がある)方
  • ポリープの茎が広い場合(サイズは無関係)
  • 定期的な検査でポリープが前よりも増大傾向
  • 胆嚢ポリープが1cmよりも大きい

また、血液検査でCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを測定し悪性の疑いがある方は、精密検査を受けるようにしましょう。
なお、治療が必要と判断した場合は、連携医療施設にご紹介させていただきます。